「将棋ビジネス」考察ノート

これまでの「将棋界」、これからの「将棋界」

プロ棋士「獲得賞金・対局料ベスト10」の比較

日本将棋連盟は、毎年、「年間獲得賞金・対局料ベスト10」を公表しています。

 

そのうち、今回は「2006年」「2015年」「2024年」のベスト10を比較してみたいと思います。(*金額は推定/単位は万円)

(2006年)
  1. 羽生善治 三冠 9,376
  2. 佐藤康光 棋聖 7,576
  3. 森内俊之 名人 6,536
  4. 渡辺 明 竜王 5,654
  5. 谷川浩司 九段 3,205
  6. 丸山忠久 九段 3,116
  7. 藤井 猛 九段 2,506
  8. 鈴木大介 八段 2,277
  9. 郷田真隆 九段 2,159
  10. 森下 卓 九段 1,989

*上位10人の合計;44,394

 

19年前は「羽生世代」全盛期といったメンバー構成です。羽生さんが三冠でも1億円を超えていないのは、やはり「竜王」と「名人」を獲っていないからでしょう。

逆に言えば、当時はまだ「若手」であった渡辺さんが「4位」にランクインしているのも「竜王」の「優勝賞金4,320万円」が大きく寄与しているからだと思います。

 

(2015年)
  1. 羽生善治 名人 11,900
  2. 糸谷哲郎 八段 5,531
  3. 渡辺 明 竜王 4,577
  4. 森内俊之 九段 3,450
  5. 行方尚史 八段 2,689
  6. 佐藤天彦 八段 2,616
  7. 郷田真隆 王将 2,467
  8. 豊島将之 七段 2,459
  9. 深浦康市 九段 2,373
  10. 広瀬章人 八段 2,042

*上位10人の合計;40,104

 

2015年もトップは羽生さん、下の世代がどんどん上がってきても、この位置を「キープし続ける」のがレジェンドと呼ばれる所以だと思います。

 

(2024年)
  1. 藤井聡太  竜王・名人 17,556
  2. 伊藤 匠  叡王     4,364
  3. 永瀬拓矢  九段     3,026
  4. 佐々木勇気 八段     2,900
  5. 渡辺 明  九段     2,594
  6. 広瀬章人  九段     2,461
  7. 豊島将之  九段     2,348
  8. 山崎隆之  八段     2,124
  9. 菅井竜也  八段     1,648
  10. 羽生善治  九段     1,622

*上位10人の合計;40,643

 

世代交代、新しいスター降臨!藤井さんが叡王を失うも、堂々の七冠でダントツの一位。ちなみに、1996年に同じ「七冠制覇」を達成した羽生さんの獲得賞金・対局料は「1億6500万円」だったそうです。30年経っても、「ほぼ同額」というのはちょっと寂しい気もしますが・・・。

 

もう一つ気になるのは、「トップ10の総額」が減少している点です。

 

2006年 約4億4,000万円

2015年 約4億円

2024年 約4億円

 

前人未到の「八冠制覇」で、藤井さんの名前は普段、将棋に全く馴染のない方にも知られています。つまり、これ以上にないくらいの「認知度」「知名度」になっているはずですが、残念ながらこれが棋戦の契約金アップに繋がっていません。もちろん、現在契約更改の交渉中でタイムタグがあるだけかもしれませんが、これでもアップしないなら根本的な経営戦略の見直しが必要になってくるでしょう。

 

(参考・情報源)

www.shogi.or.jp

 

www.shogi.or.jp

 

www.shogi.or.jp